小説 3話 意味不明

    「大丈夫か?」
 
    さっきまで弓を持っていた男が言う。
 
    男が心配しているのが
 
  
    巨鳥の被害か、矢の被害かは
 
    全くわからないけど。
 
    とりあえず、
 
    「怪我は無いけど。」
 
    と答えた。
 
    実際、運良く矢が当たらずに済んだ。
 
 
    
    「うまく力加減ができなくてな。
 
     すまなかった。」
 
 
    危険だと思っていたのなら
 
           やめてもらいたかった。
 
    いや、そんなことよりも、
 
    「早く助けにいかないと。」
 
    そういって私は
 
  
    巨鳥の飛んでいった方向へ
 
    走り出す。
 
 
    
    「正確な位置がわからないと
 
     迷子になるだけだ。」
 
 
    そう言って、彼は腕を掴んで止めた。
 
 
    
    「じゃあ、このままおとなしくしてろって
 
     言うんですか!」
 
    私は思わず声を荒げてしまった。
 
 
     
    「ああ、そうだ。
 
     ただの邪魔だ。
 
     だからおとなしくしていろ。」
 
 
    自分が未熟なのはよくわかっている。
 
    だから反論できなかった。
 
    呆然とした私を置いて
 
    彼は、銀色の金属を取り出す。
 
    それは、
 
    伸びて曲がって
 
    ヘリコプターのような形を作った。
 
    それに乗り込んで
 
    彼は去っていった。
 
  
 
    「本当に気遣いも何もないね。」
 
 
    私の後ろから声がした。
 
    振り向くと、
 
    白い服の人が立っている。
 
    「・・・誰?」
 
 
    「ああ、僕の名前はホワイト・ラバー。
 
     この辺のギルドの一員だよ。
 
     ちなみに彼が、
 
     そのギルドのリーダーなんだけどね。
 
     それでさっきのは、
 
     
     『実は、もともと僕が囮になるはずだったんだけど、
 
     貴女方が偶然巻き込まれてしまって、
 
     全く、後始末が大変だ。』
 
     というわけで苛立っていただけだから
 
     あまり気にしないほうがいいよ。」
 
 
     
     人がさらわれたのに
 
     どうしてこの人たちは
 
     余裕そうにしているのだろうか。
 
 
     「それは、なれているからだよ。」
 
 
     
     !
 
     口に出してないのに。
 
 
     「口に出ていなくても
 
      自然とわかるんだよ。
 
      ・・・聞いたことないかい。
 
      世界中で約100人程
 
      普通とは違う、
  
      いわゆる超人がいるって話。」
 
 
     聞いたことない。
 
     でも言いたいことはわかる。
 
     「あなたもその一人ってこと?」
 
 
     「そうだよ。
 
      僕は心を読めるんだ。」
 
 
     ありえない。
 
 
     「まあ、信じていないだろうけど。
 
      でもブラックソードは
 
      それを利用して
 
      捕まえようとしていた。」
 
 
     「ああ、ブラックソードというのは
 
      さっきの黒い服を着ていた人だよ。」
 
 
     つまり、今
 
     
     目の前にいる人が
 
     巨鳥の位置を教えて、
 
     ブラックソードが
 
     ヘリコプターでそれを見つけている。
 
     それが本当なら
 
     ディザスは無事助かるかもしれない。
 
     
 
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    えっと確かここに・・・・・。
 
    
    「おい、貴様そこで何をしている!」
 
 
    「ちょっと野いちごをつみに。」
 
    ああ、めんどくさい。
 
    殺せば済むのに。
 
    第一、
 
    なんでこんな格好で
 
    出歩く必要があるんだ!
 
 
    
    彼は、森の中にある村の
 
    女性用の民族衣装を着ていた。
 
    女装のために。
 
    なぜかというと、
 
 
    最近、山の方で
 
    大量の金が見つかり、
 
    近くの村から
 
    ほぼ強制的に男性が
 
    働き手として集められているからだ。
   
    
  
    僕の目的は、金を一つ残らず
 
    消してしまうことだったのだが、
 
 
    
    見張りが多すぎて近づけない。
 
    「・・・・・・。」
 
    こんな無理難題押し付けやがって、
 
    覚えてろよ、ブラックソード。
     

 

    

    To be continued