4話  

      「ここから、北西方向に2km
 
    その周辺の木の間に巣が作られているはず。」
 
 
   
   ヘリに付いている通信機から声がする。
 
   ホワイトは、鳥が飛び立つ時に
 
   鳥の心を読んで
 
   巣の位置を俺に教えてくれている。
 
   しかし、それらしきものは
 
   なかなか見つからなかった。
 
   ようやく見つかったのは
 
   荒らされた巣の残骸だけだった。
 
   近くから巨鳥の死体が発見され、
 
   連れ去られた青年の行方は謎となった。
 
   優秀な部下達に捜索を任せ、
 
   俺は携帯電話を取り出す。
 
   「もしもし、ブラックソードだ。クラウスか。」
 
 
   
   「ちょ、ちょっと!いきなり掛けてこないでよ!」
 
   
   クラウスと呼ばれた人が慌てて電話に出る。
 
 
   
   「悪かった。
 
    それでちょっと作戦を変更したいと思って―」
 
 
  
   「つまり実力行使OKってこと?」
 
 
   「いや、それはだめだ。
 
    お前はやりすぎるからな。」
 
   電話からうめき声のような声が聞こえる。
 
   かなり限界のようだ。
 
   「それで、変更というのは・・・」
 
 
   
   「そんなこと本当にしていいの?」
 
 
   
   「この状況じゃ仕方ない。とりあえず頼んだぞ。」
 
   そういって俺は、電話を切った。
 
   一体、何があったのだろうか。
 
   もう一度、森の中を探索し
 
   その後、あの子の元へ戻った。
 
 
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   「ホワイト、本当にディザスは無事なの?」
 
   私は思わずそう尋ねていた。
 
 
   
   「多分ね。
 
    ブラックソードはかなり腕利きだから。」
 
 
   
   目の前のこの白服の人は
 
   余裕と言わんばかりの笑みを浮かべている。   
 
   なんだろう。
 
   この人は、確かにブラックソードよりも
 
   愛想がいいし、こちらに対して
 
   なんでも話してくれている。
 
   けど、何か裏で画策していそうで
 
   常に警戒していないと
 
   いつの間にか取り込まれてしまいそうな、
 
   そんな嫌な感じがする。
 
   まあ、初対面だから怪しむが普通だと思うけど。
 
 
   
   「へえ、
 
    貴女は僕のこと
 
    そんな風に見てたんだ。
 
    せっかくいろいろ教えてあげたのに
 
    残念だなあ。」
 
 
   
   それにこの異常な能力はもっとタチが悪い。
 
   もちろん助けてもらっていて
 
   感謝はしているけど。
 
 
   
   「ところで
 
    その、ディザスって人は
 
    旅仲間か何かなの?」
 
 
   「いや、1時間程前に川で助けた相手だよ。」
 
 
   そう言うと、
 
   ホワイトは笑い出した。
 
 
   「じゃあ、そんな初対面みたいな人を
 
    そんなに心配してるの!
 
    普通心配なんてしないって!
 
    ていうかその人、
 
    滝に投身自殺でもしようとしてたんじゃないの?」
 
 
   私がこの笑いの止まらない物体に
 
   殺意を覚えたのは
 
   言うまでもないだろう。
 
   私は持っていた剣で
 
   ホワイトに斬りかかった。
 
   すると、
 
   それをかわしつつ
 
   ホワイトは笑うのをやめて言う。
 
 
   
   「すまなかった。
 
    笑ったりして。
 
    しかし本当に不思議な話だね。
 
    そんなに浅い川で溺れてたなんて。
 
    あっ。あと一つ。
 
    あまり感情的になると
 
    情報がダダ漏れになるから
 
    気をつけたほうがいいよ。」
 
 
   これがコイツの本性かと
 
   私は理解した。
 
 
   
   「電話だ。
 
    ブラックソードからだね。」
 
 
  
   何か話したあと、
 
   ホワイトは、こちらに向かって
 
   残念そうな顔をする。
 
   「まさか・・・。」
 
 
   「彼は行方不明だってさ。」
 
      
     
    To be continued